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思い出のローカル線

Memories of railroad travel
文と写真、信沢あつし
CREATE:96/12/12(13:00 00/12/05)
Create: 04/10/16 03:28
Update:
長瀞の思い出

秩父鉄道寄居駅にて。観光地らしい飾り付けかされている。
秩父鉄道寄居駅にて。観光地らしい飾り付けかされている。
 父親が仕事で行くことがあったのか、子供の頃、長瀞には何度か連れて行ってもらった。
 私の記憶の中で初めて行った時は、秩父鉄道の電車だった。恐らく八高線で寄居に行き、秩父鉄道のの電車に乗り換えたのだろう。しばらく走ると左手にエメラルド・グリーンの荒川が木立から覗く。川に沿って道路に並んで電車が走る。ゆるい左カーブで、道路を走る自動車と、秩父鉄道の電車、そして美しい川という、ジオラマを想わせる光景に、私の目はくぎ付けになった。
長瀞の川原で「ロウ石」を探して拾った
長瀞の川原で「ロウ石」を探して拾った
「長瀞よりも上長瀞のほうが便利なんだよね」などという両親の会話を聞いた覚えもある。きっと駅を降りるとしばらく歩き、ヘルスセンターのような大広間のある店に入ったのだと思う。
 そこを出て、土産物屋や食堂が並ぶ中を川原に下りる。今よりはもっと自然な川原で、下りる場所も探しながら、三波石づたいに歩いたと思う。石に空いた穴に水がたまり、めだかなどが泳いでいた。お兄さんたちは大きな石によじ登り、自慢そうにしている光景も目に付いた。
秩父鉄道上長瀞の鉄橋
秩父鉄道上長瀞の鉄橋
 石はタテに裂けるように割れて川原に転がっていた。この中にはロウ石があった。土産物屋には綺麗に四角く切られたものが売っていたが、子供の私はここでロウ石を探すのが楽しみになった。
 川原で遊んで、景色を眺めながらずいぶんと歩いたようだった。両親は何かを探しているようだったが、子供の私は理解できなかった。道路に出てしばらくすると道路沿いに小さな駅があった。「ずいぶんと簡単な駅だ」と子供ながらに思った。ホームに上ると辺りは暗くなっており、ホームと待合室のオレンジ色の明かりが印象に残っている。寂しく寒々しくて「早く家に帰りたい」と思いながらも、父親に抱かれて、暖かい電車にのると、ほっとして、私は眠りについたようだ。
大きな石に登るのに憧れた
大きな石に登るのに憧れた
秩父鉄道の長瀞駅だと思う
秩父鉄道の長瀞駅だと思う
 何度も長瀞には行ったが、ジオラマのようなゆるい左カーブを行く度に「ここで暗い中で電車に乗ったのだ」と思い出す。時には、あの時の光景の中にもう一度行ってみたいとも思う。
※写真は昭和50年から52年に撮影したもので、本文の時のものではありません。

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※写真は、時折アップデートしたりしています。
また、日付は、ページの作成日であり、写真撮影日とは異なります。
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